『水星の魔女』の設定がデタラメすぎるので誰か納得いくように説明してほしい
人類が宇宙進出してスペーシアンとアーシアンに分かれる→わかる
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いっぽうでアーシアン同士の争いは続いている→ん?
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スペーシアンはアーシアンに兵器を供与して利益を得る(戦争シェアリング)→んん?
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戦争シェアリングで利益を得たコングロマリット(ベネリットグループ)がアーシアンを弾圧→あかんやろ
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ベネリットグループを危険視した宇宙議会連合の介入が始まる→宇宙議会連合ってそもそもなんやねん
どこからツッコめばいいのかという感じでございますが、とりあえず並べてみます。
1)宇宙議会連合ってそもそもなに?
セセリアさんによると宇宙議会連合はフロント間の政治問題を解決する行政機構ということでございます。
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— 機動戦士ガンダム 水星の魔女 (@G_Witch_M) 2023年6月24日
ざっくり解説Extra
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いよいよ最終局面に突入した
『機動戦士ガンダム #水星の魔女』を
より楽しんでいただくための
「ざっくり解説」をお届け!
明日 6月25日放送の第23話に備えて、
ぜひご覧ください!#G_Witch pic.twitter.com/n1FJid1iW7
「行政機構」というからには三権分立でいう行政を司る機関であるはずでございますが、立法府であるはずの「議会」の「連合」が行政を司るロジックがわかりません。「フロント間の政治問題を解決する」ということは各フロントに政府=行政府があることが前提になるわけですが、行政府を差し置いて各フロントの立法府=議会だけが連合を組むというのもおかしな話です。
各フロントに議会はあるけれど行政府は同一で、それが宇宙議会連合なのでしょうか? であれば理屈上は説明がつきますが、前述の通り「フロント間の政治問題を解決する」という説明とは実態が異なってしまうように思えます。
また、「フロント間の政治問題を解決する行政機構」にしては保有している軍事力が強大すぎます。さらに、アーシアンのテロ組織に兵器(ガンダム)供与しているにいたっては論外です。宇宙には政治機構がまったく存在せずベネリットグループ=スペーシアンというならベネリットグループと対峙するアーシアンに手を貸すのは理解できますが、ベネリットグループはあくまでも企業であり、政府ではないと説明されているはずです。
結論として、水星の魔女ではフロントの国家システム(=どのように統治されているのか)がまったく説明されておらず、かつ出てくる組織のやってることがめちゃくちゃです。
2)なぜベネリットグループにアーシアンの治安を維持する(=弾圧する)権限があるのか?
設定で最大にやばいのがここです。
前述したように、ベネリットグループは巨大ではあるものの一企業グループにしかすぎないはずです。政府の機関でも、ましてや政府でもありません。そのベネリットグループにアーシアンの「治安維持」権限が与えられている理由がわかりません。
治安とは国の秩序のことであり、それを維持するのは国がその権限を与えた機関の役割です。つまりスペーシアンがアーシアンを統治する権利がある(もしくは植民地化している)ばあいにのみ、治安維持という名目での活動は許されるはずだからです。ですが何度も申し上げたように水星の魔女の世界では、スペーシアンとアーシアンは対立構造にあり、スペーシアンがアーシアンを支配しているというふうには語られておりません。
ベネリットグループはアーシアンのどこかの組織から依頼を受けて治安維持をしているということであれば話は通じますが、であればアーシアンのヘイトはベネリットグループではなくそのアーシアンの組織に向かうはずです。でも実態はそうなっていない。
ということは、ベネリットグループはなんの権限もないのに勝手にアーシアンを弾圧していると考えざるを得ず、それは企業のやることを超えています。スペーシアンにモラルはないんか、お前らは独裁国家かなにかなんか? とツッコまざるをえないです。
3)宇宙進出の経緯が説明できない
水星の魔女公式サイトには、設定としてこのように書かれています。
アド・ステラ122――
数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代。
戦争シェアリングという構図を説明するためには、地球には対立する複数の政治勢力があり、かつその対立は長きに渡っていると考える必要があります。
そのような不安定な状況下では、そもそも宇宙進出などという巨大事業が行えるわけがないのです。現在地球上で起きていることを見てもわかるように、各勢力は多大な軍事費を捻出しなくてはならないからです。
あるいは宇宙進出が行われた時期は地球は平和だったけど、スペーシアンが一定の勢力を得てからアーシアン同士での争いが始まったのでしょうか? であれば説明はつきますが、アーシアンがスペーシアンの手のひらで踊らされすぎと言わざるをえず、そこまでアーシアンが愚かだったとは普通は考えづらいです。
現在の地球に例えると、先進国が揃って宇宙進出してアド・ステラ歴の地球は全域が紛争地域(=発展途上国)になっている状態なんでしょうか? それにしてはアド・ステラ上の地球は都市区画もあり、全域が荒廃しているようには見えません。アーシアンにまともな政治機構があれば、スペーシアンに対抗するにはまず自分たちが一体になる必要がある、自分たち同士の戦争をやめる必要があるとわかりそうなものですが、なぜあんな有様になっているのか理解ができかねます。
結論として、水星の魔女の世界観はストーリーやシチュエーションありきで箱庭的にしか書かれておらず、フィクションだなあと思わざるをえません。
繊細に設定の積み上げていく作品もあれば、辻褄の合わない部分があってもストーリーに合わせて大胆に作る作品もあるし、最終的はその作品に合わせてやっていくしかない。細緻な設定と考証が作品に寄与することもあれば、足を引っ張ることもある。そこが怖いところだなぁと思う。今日この頃。
— 白土晴一 (@manetoke) 2023年6月26日
水星の魔女の設定考証のかたがこのように仰せなので、ストーリー優先の作品なんだなあと思いますが、クワイエット・ゼロひとつ取ってもあんなデカブツ作るのには莫大な予算が必要なはずで、謎の予算がシン・セーに流れていたという説明はありましたが、いくらなんでも「流れていた」でスルーできる規模じゃねえだろ企業統治どこいったんだよという感は否めず、いくらストーリーありきの設定でも一定の説得力は必要だろうと思った次第です。
それとも世間ではそんなもん気にされないのですかね。23 話見てわたしは何の伏線もなくコロニーレーザー()が出てきたことに割と引いたのですが、世間では「コロニーレーザーキターーー」みたいな反応でしたし。
不公平で理不尽な世界というワードが本作では使われたように思いますが、個人的にはそれ以前にどこもかしもも無秩序にすぎるという感想です。