なぜエロゲー識者はユーザーから信頼されないのか

 わたしがここで言う「識者」とは、エロゲーを制作するメーカー側の方々ではなく、エロゲー雑誌(だいぶ数も減りましたが)などメディア側の方々のことです。

 

 思うに、他の業界ーースポーツだったりアニメだったり一般ゲームだったりーーでは、それを語る立場にある人々、つまりメディア側にいる方々って、ファン/ユーザーから程度の差はあれ一定のリスペクトはされてると思うんですね。
 が、エロゲー業界のメディア側にいる人たちって、ユーザーに全くリスペクトされてないと感じます。

 

 それは何でかなと考えると、そもそもなぜ識者はユーザー/ファンから信頼されるのかという話だと思うんです。


 他の業界だと「元制作者で、(受け手側からは見えない)制作側の視点から物事が語れる」「その分野における知識に富み、当該分野で発生する事象を論理的に説明できる」とかだと思うんです。
 ゲームメディアなら、飛び抜けてゲームの腕前が高い(からその人間がゲームを語ると説得力が生まれる)とか、書く文章が面白い(黎明期のファミ通が評価されたのはこの点じゃないでしょうか)とかだと思うんですが……わたくしの知る限りにおいて、エロゲーメディアでそういうレベルにある人は一人もおりません。あと、制作者側から識者側に移る人がいないのもあるかと思います(わたしが知らないだけだったらすみません)。

 

 それを象徴しているのが「萌ゲーアワード」の講評です。ここで読めますが、まあどれも内容に乏しいこと。表面的なことしか言ってない。

 

 例えば2016大賞の『ワガママハイスペック』講評ですが、受賞理由が「キャラが魅力的でシナリオが感動的、しかもエロも濃かったから。あとマルチメディア展開がすごい(要約)」です。すべての要素が良かったんなら受賞するのは当然じゃないです? それだけでは受賞理由の説明になりません。ここで説明されるべきは「他のゲームに比べて特筆してその要素を良かったという客観的理由」なんですが、キャラについては「いろんなキャラが出てくるよ。どの娘も魅力的だよ」と書いてあるだけで、どう魅力的なのかがさっぱり分からないのです。
 そしてマルチメディア展開、ユーザーの盛り上げ方を評価するのは論外ですよね。ユーザー人気で作品を評価するなら、もう完全にユーザー投票でいいんじゃん? って話になるからです。識者wがブラックボックスで選出に加わる必然性が根本的に無くなります。ユーザーが気づかないポイントに視点を当てて評価するのが識者の仕事ではないでしょうか?

 

 識者wがこんな程度の文章しか書けないのであれば、そりゃユーザーから信用されなくて当然です。

 

 まあ、そりゃあね、エロゲーって評価するの難しいと思うんですよ。シナリオ語りたい勢はすぐ哲学的な観点に走りますし(ゆえに丸戸シナリオがなぜ支持されるのか、どこが優れているのかをロジカルに語れる人間ってあんまいないと思う)、一方でグラフィックはライターにとって極めて語りづらい部分です。絵が分からないと語れないので。だから文章も書けるイラストレーターって貴重なんですが。

 

 エロゲ雑誌がいつの頃からかスクープ(=制作発表)とインタビューにしか価値が無くなり、でもその頃すでに本当の意味でインタビューができるライター/編集者は存在してなかった。質問項目をメーカーにブン投げて返ってきた答えを引き写すのはインタビューとは言わねーから。


 もちろんエロゲ雑誌ではポジティブなことしか書けなかった(批判が許されなかった)ってのは一因としてあると思うんですが、褒めるなら褒めるで媒体側が独自の視点から褒めるべきであって、メーカー資料に書かれてるセールスポイントをなぞるだけでは仕事としては不十分でしたよね。でもエロゲ雑誌のライターなんて原稿料安いし、そんなレベルの高い仕事が期待できるわけもなく……。

 

 「お前の認識は間違っている! こんなにいい仕事をしている(良い文章を書いている)エロゲー識者はいるぞ!」っていうかたがいらっしゃったら、ぜひ教えてください。本当に面白かったら謝ります。