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オルガと三日月が死ぬ必要あった? ~『鉄血のオルフェンズ』に抱くモヤモヤの理由~

 『鉄血のオルフェンズ』が完結したので感想を。

 

 こういう結末を迎えること自体は、想定もしていましたし納得もしています。

 

 おそらくですが、この物語の全体的な構成は、「戦場でしか生きられない子どもたち」という設定、そして彼らが迎える結末がまず最初に決まり、そこから逆算して、間の話を作ったのだと思います。こういう結末になるからこういう展開を辿って、そのためにはこういう経緯が必要だよな……って感じに。

 鉄華団が力を付けていく過程を描く一期はそれでよかった。
 しかし、彼らが(鉄華団としては)滅びへと追いやられる過程、つまり二期後半の展開はあまりにも雑でした。これは構成という観点から見ると、全く褒められたものではありません。

 

 マクギリスは彼の理念に忠実に生きたのかもしれませんが、彼の革命には勝算が全くありませんでした。
 『ガンダムZZ』では、ハマーン・カーンの起こした戦い=第一次ネオ・ジオン抗争が「ハマーンのクレイジー・ウォー」と言われているそうですが、あれのほうがよっぽどまともに戦略を立てていました(グレミー・トトの反乱が誤算でしたが)。あれでクレイジー・ウォーなら、マクギリスの反乱は何と呼ばれるのでしょうか?


 マクギリスもハマーンも、勝ち目の薄い戦争を自ら仕掛けたという点では共通しています。でも、ハマーンの戦いには彼女なりの計算がありましたし、実際「ひょっとしたら勝ってしまうかもしれない」というところまで行きました。まあグレミーの反乱がなかったら彼女がどう戦争を着地させるか考えていたかは謎ですが……。


 何故、作劇上負けると決まっている人間のとる行動に計算が必要なのか?
 それは当然、そうしないと物語に説得力が生まれず、視聴者が感情移入できないからです。
 人間の滅びを描くのであれば、そこに至るまでの過程には説得力が求められます。「あーこういう展開になったらこういう結末になるよな……」と視聴者に思わせねばならないのです。
 でなければ、「は? なんでそこでそう行動するの? お前はバカか?」という思いが視聴者に生まれてしまい、感情移入する=その登場人物の身になって考えるということができなくなります。
 ましてや、これは戦争を描く物語なのです。当事者本人(鉄血の場合はマクギリス)だけでなく、その戦争に参加した多くの人間が何故その戦いに身を投じたのかという理屈がそれなりに必要です。当事者本人だけが考えなしだった、では説明になっていません。

 

 『鉄血のオルフェンズ』については、そこら辺が絶望的に雑でした。
 一期であれだけ周到にシナリオを組んでイズナリオを追放したマクギリスが、なぜ劣勢と分かっていてアリアンロッドとの戦いに挑んだのか? なぜダインスレイヴ対策を全くしていなかったのか?


 鉄華団の行動も謎ですよね……。ジャスレイを叩くために新たな後ろ盾としてマクギリスを頼った、まあそれはいいです。でも何故マクギリスの起こした反乱に律儀に付き合う必要があったのか?
 「組織として全く考えなし」「鉄華団は一度組んだ相手を裏切らない」とか理由付けはされていますが、「死ぬのは俺たちの家族なんだぞ!」というオルガのセリフはもっと前にマクギリスに叩き付けるべきでした。ヒットマン(笑)に対する無対策ぶりは論外ですね。

 

 そんなこんなで、終盤の展開に全く説得力がないので、視聴者としては醒めるんですよね……。
 これは滅びを描く作品だからカタルシスは求めるなと言われれば理屈はわかりますが、にしても、オルガはもうちょっとマシに立ち回れたのでは? という疑問符が付きます。


 個人的に一番可哀想だと思ったのは石動さんです。彼が求めたギャラルホルンの有り様は結局ラスタル様が実現してしまったし、同じような立場のジュリエッタがめっちゃ昇進してますし……マクギリスに魅入られたのが不幸だったと片付けるしかないのでしょうか?

 

 そんなわけで、最後まで見た感想としては「やりたいことは分かるけど雑だしカタルシスもないので物語としては評価できない」となります。
 キャラクターとしてはみんないい味出していたかと思いますが、オルガはもうちょっとどうにかならなかったのか……あれではただの報われない苦労人です。

 

 個人的に唯一救いだったのは、二期で一番好きだったジュリエッタちゃんが生き残って、かつガエリオといい感じになっていることですかね……(イオク様とは) ガエリオさんには全力でジュリエッタちゃんを口説いていただきたいです。お前がジュリエッタの肉付きを良くするんだよ!